素直力

素直力

今の僕に最も足りない力かもしれない。

生まれながらにして平等に与えられる力、それが素直力だと思う。
みんな最初は泣きながら生まれてくる、嬉しいのか悲しいのかわからないけど素直に感情を表現しているように思う。
無表情で生まれてくる赤ちゃんは漫画の世界限定の話。
お釈迦様は、生まれた直後に指を突き上げて天上天下唯我独尊と言われたようだが、実際はどうかわからない。

最初はみんな素直力を100スナ持って生まれるけど、家庭環境や育つ環境で徐々にその力を失っていく。

もちろん環境によって削られ方は異なってくると思う。

例えば兄弟で言うと、先に生まれた方のが削られる。

下が生まれると、心も体も子供なのに大人が求められる。お兄ちゃんなんだからお兄ちゃんなんだからしっかりしなさい。
しっかりしてない親からしっかりした子供を求められる。
本当は甘えたいのに、本当は子供なのに、大人を演じるようになる。
大人を演じることで、親から褒められる。
大人を演じ続けることで直力が削られ続ける。

親から褒められることが自分の存在になってくる。
自分がやりたいことが何だか分からなくなってくる。

これはあくまで姉妹の事例であり、本当の大人の親であれば子供に大人を求める事は無い。
先に生まれても、無理して大人を演ずることなく、ありのままに素直に子供として生きることが許される。

自分じゃない自分を演じる事がどれだけ辛く、悲しいことが社会人になって同じような経験をすることがある。

そんな残酷な日々を送っている子供はたくさんいる。

誰が悪いわけではない、子供のまま親になってしまった人の親もまた子供のまま親になったわけで、この連鎖はいつから始まっていつ終わるのだろうか?

社会に子供大人が溢れている、みんな不安で自分が誰だかわからなくて誰かに褒めてもらいたくて無理して生きている。

僕が素直力を知ったのは、松下幸之助の本だった。
松下幸之助は本の中で何度も何度も素直力を語った。

僕は偉そうに、まるで僕の言葉のように素直力を語った。
1番素直力のない人間が1冊の本を読んだだけで素直力が身に付くはずがないって事は当時の僕には理解できなかった。

素直力なんて誰でも持っていて、ちょっとだけ意識すればできることだと思っていた。

確かに誰でも持っているものだけど、うまく使いこなせている人はほとんどいない。人間よりも犬や猫他の動物の方がうまく使いこなせているのではないだろうか。

幼い頃、家族でレストランに行ったときの話。
僕の弟は素直だからそのお店で一番高くて1番おいしそうなメニューを頼む。一方で僕は勝手に親のお財布を気にして1番安いメニューを頼む。
本当はステーキが食べたいけどハンバーグを食べる。
そんな子供だった。

だから今でも素直になることがとても難しい。
心の中と言葉や体が合っていないことが多い。逆に心と体があったときとても幸せを感じる。

僕はひどい方だけど、周りを見渡せば素直になれない大人が多い事に気づく。
優しい人、気を使える人に限って素直力が低い人が多い。
 
失った素直力をもう一度手に入れるためには、時間をかけてゆっくりゆっくり取り戻すしかない。
つまり素直力を上げる事は可能である。

誰かの力を借りる必要は無い、自分の感情を意識して本当の自分が何と言っているかを常に聞いてあげることが重要だ。
そして勇気を出して素直な行動ができたら、自分で自分を褒めてあげると良い。
小さな頃の自分の頭を今の自分があげるイメージを持って褒めてあげれば良い。
自分を癒せるのは自分しかいない。
自分が癒され素直になってくると、他の誰かを癒すことができるようになる。

素直になると毎日が楽しくなる。
他人と自分を比べず、上も下も見ないようになる。
自分であることに自信を持って生きれるようになる。

まずは自分の感情を意識して素直になって自分を褒めてあげる。