小学生の頃、イラン人の友達がいた
今、どこで何をしているのかは分からない
名前は「ヤヒァ君」
最初の出会いは小学校の入学式
ヤヒャ君は男の子なのに真っ赤なカバンを背負っていた
今の時代であれば普通かもしれない
当時は男は黒、女は赤と決まっていた
さすがにマズイと思ったのか、いつの日か黒いカバンに変わっていた
家が近所だったこともあり、たまにヤヒャ君のお母さんから電話きて
「竹ください」
「ダルマどこにありますか」
「キーケをあげます」
を連呼されて困惑した事もあった
当時、プロミスリングが大流行していて
小学生は単純なので珍しいプロミスリングを付けているか
もしくわ、沢山つけているかがモテる基準だった
ある日、ヤヒャ君は手首から肩までびっしりプロミスリングを付けてきた
季節は夏だったけど
遠くから見たら長袖状態
熱い男だった
冬のシーズンでもヤヒャ君は大活躍だった
スキー教室
ヤヒャ君は長袖のトレーナとマーブルジーンズで参加した
当時はスキーブーム
上級者は転ばないので、トレーナーで滑る事はさほど珍しくは無かった
バスでスキー場へ向かう途中、ヤヒャ君はウェーデルンが出来ると豪語していた
みんなが憧れる滑走方法のパラレルターンよりもさらに上級者の証とも言えるウェーデルンが出来ると言うのだ
スキー場に到着
少しだけ吹雪いていた
ヤヒャ君はバスから降りた瞬間、両腕を抱えしゃがみ込み
「寒い・・・」とうずくまった
その日、ヤヒャ君は休憩所でずっとカレーライスを食べていた
ヤヒャ君はケーキの事をキーケと呼んでいた
イランではケーキの事をキーケと言うんだと豪語していた
たまにイランに帰った時に買ってきてくれるクッキーをキックーと言っていた
イランはなんでも逆に言うのかと思っていた
ヤヒャ君は小学校5年生くらいで転向してしまった